| 温州みかん各系統の特性は次のとおりである。 |
@在来系
木は上向性で葉は大きく、翼葉もやや大きい、果実は大果で扁平、果面は粗で果皮が厚く、じょうのうも厚い。果肉は淡色で肉質は粗く、風味も劣る。通常種子を含む。熟期は尾張系より遅く、池田系よりは早い。福岡県に多いことから筑後系とも呼ばれ、浮羽(うきは)郡田主丸の苗木場から広がった、これは温州みかんの原種にも近いので、品種が劣るので減少し、今日ではほとんど栽培されていない。 |
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A池田(いけだ)系
木は拡張性で葉は小型で幅狭く先端はとがり、翼葉はきわめて小さい。果実は小果で丸い。果面は粗で果皮は厚くて濃色、油胞(ゆほう)(みかんの皮のつぶつぶ)が大きく明りょうである。じょうのうはやや厚い。果肉も濃色で風味はよい。種子は非常に少ない。塾期は最も遅く、果実は貯蔵性に富む。大阪府豊能(とよの)郡細川村の原産とされる。大阪府池田の苗木場から広がったので摂津系ともいう。 |
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B伊木力(いきりき)系
木の外観は強勢で幹や枝が太く、葉は大きくて濃緑色である。果実も非常に大果で果頂部が平たく、果こう部(軸の方)がとがって細まり果頂部の方が大きいという果形が特徴である。果皮は濃色で厚く、油胞も大きい。じょうのうは厚いが柔らかい。果肉はやや淡色で風味は良い。通常少数の種子を含む。主として長崎県西彼杵(にしそのぎ)郡伊木力村(現多良見町)で栽培されてきたものである。 |
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C尾張(おわり)系
木は上向性で枝数が少なく、強勢である。葉は大きくて特に基部で幅広く、濃緑色で翼葉の幅は中くらいである。果実は大果で扁平、果こう部ともへこみ、花柱痕がへそになることもある。果皮は薄く、緑色で油胞が小さく、果面はなめらかで美麗である。じょうのうも薄い。果肉は濃色で風味良好である。種子はほとんど又は全くなく無核である。熟期は早い。来歴は明らかではないが、愛知県中島郡の苗木場から広まった。別名「改良温州」とも称される。 |
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D平(ひら)系
果実は大果で扁平、均斉のとれた形状である。果皮はやや厚く、あまり濃色ではない。果面はおおむねなめらかである。果肉は淡色で粗く、風味はやや良い。中心柱は比較的小さい。通常種子を含まないが、必ずしもそうとは限らない。愛媛県北宇和郡立間村(現吉田町)においてのみ知られてきた。 |
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E早生系
木は上向性であるが、樹勢は弱くてわい性である。葉は小さくて上向し、枝葉は蜜で節間が短い。果実は非常に大果で偏球形であるが、果頂部は平らである。果面はなめらかで、完熟すれば濃色となる。がくは大きい。果皮は著しく薄く、じょうのうに密着する。油胞は大型で数か多い。じょうのうは柔軟で薄い。果肉はやや淡色で、風味はやや淡白であるが、酸味が少ない。通常無核である。大分県北海部(きたあまべ)郡青江村(現津久見市)で、在来系の枝変わりとして発見された。 |
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| 以上のように、温州みかんは少なくとも6系統に大別される。その中の早生系(早生温州)は明治2年頃に初めて発見された。その後、早生温州は枝変わりによって生じた事が分かって、枝変わりの探索が注目されるようになった。早生温州ばかりでなく、普通温州においても各地で続々と優良系統が選抜され、今日まで優良と唱えられた系統数は数百にのぼっている。熟期だけをみても10月から12月にかけて連続的な変異を示すに至ったのである。現在各府県では奨励系統を選抜して優良系統の普及に努めている。更に最近、球心胚実性(しゅしんはいみしょう)の中の変異の探索が進められ、すでに相当数の優良系統を選抜しているが、更なる有望系統の出現も期待されている。 |